「北の曇り犬」 2003年末
ガラスの裏に墨、油彩(ガラス絵) 30 × 24 cm

" Northern cloudy dog " Late in 2003
Oriental ink , oil other glass 30 × 24 cm


(以下、2004年1月22日の自分の日記から引用)
今日は特に寒かったね。 
例年だと、ヨーロッパを経由してくる低気圧が 
今年は、北極圏から直で日本にやってきたせいで、大寒波に見舞われているらしい。 

僕はその北極圏(シベリアの北の方)に行ったことがあるので、 
北極圏からの空気が来たと考えてみたら、少し懐かしく、嬉しく思ってしまった。 

深夜から早朝にかけて飛行機から眺めた北極圏内の、 
どこまでも広がった氷の、シベリアの大地を思い出した。 
街明かりなどまったくない闇のなかで、なんと飛行機の翼から点灯される、 
赤いランプが地面に届き、機体の影がランプに合わせて、 
北の大地に浮かんだり消えたりしていた。 

それほど夜は光がなく、寒々とした所だというのに 
シベリアには不思議と郷愁を感じる。日本人の祖先がここから移動してきたという 
DNAレベルの記憶が呼び起こされるのだろうか? 

暖かい家や服があるからこそ、ノンキに寒さから様々な思いを馳せることができるのだろうけど、 
安全な場所からつらいことや、不幸を見おろすように眺めるとき、 
人はそこに美しさや懐かしさを見いだすことができるのだと思う。 

今度また、3月に展覧会をやるよ。 
そこではそんな風景の記憶が、重要な要素となる作品も展示する予定。 
タイトルは「北の曇り犬」。 

もし展覧会で会えたら、もう少し詳しく話したいと思う。



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